電話で呼び出された本社の会議室に入ってみると、そこには主立った

メンバーがすでに着席していました。以前所属していた課の課長に、

担当営業、私のプロジェクト(システム開発)を手伝って下さった先輩、

そこに私が加わりました。


以前いた課は、金融関連のお客様のシステム部門に常駐しており、

開発や保守、運用サポートなどを受持っている部署でした。


私が異動した時は、その部署で開発したシステムが本番稼働した後で

したが、ひとつ問題が発生したのです。システム上の不具合ではなく、

テスト中に使用していた顧客の生データを記録したテープが、マシン

・ルームの床下から出てきたというのです。(生データというのは、

実際に金融機関と取引のある顧客の情報です。)そのテープに記した

メモの筆跡が私のものであったというのです。


それは事実でしたので私は素直に認めました。ただ、床下に保管した

のは先輩の指示でした。私は当時反対しましたが、テスト期間が終了

したらお借りした金融機関のシステム部門に返却すればいいと、説得

されそれ以上抗えず同意したのです。


しかし、実際にはテストが終了し本番稼働を迎えると、床下のテープ

の存在は開発メンバーから忘れ去られたままとなり、お客様のシステ

ム部門の人に発見される結果となったのです。「後編」へつづく。

 




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