一度、学生時代の旧友から突然の電話がかかってきたことがある。

久し振りに会わないか? というものだった。


卒業以来、まったくの音信不通だった。

彼が今どこに住んでいるのか知らないし、また彼もどうしてウチの

電話番号を知っているのか不思議だった。


聞くと、昔の連絡帳で知った私の実家の電話番号にかけ、ここの番号

を教えてもらったという。



そこまでしてなぜ? と怪訝に思った私は、体調不良を言い訳に

再会のチャンスを断った。保険や宗教か何かの勧誘だと思ったのだ。


彼は、私が統合失調症で会社を辞めたことなど、当然ながら知らない

ので、そういう経緯を説明するのも億劫だったし、外で会うとなると、

また関係妄想や注察妄想がムクムクと頭をもたげてくるのではと、

酷く心配だったことも断った理由だった。




その少々怪しい突然の電話がかかってきて、私は少なからず動揺して

いた。と同時に、学生時代の彼を思い出していた。


彼はまっすぐな性格で人をだますような人間ではなかった。いくぶん

お調子者の部分はあったが……。


そんな彼からむかし聴いた話をなぜだか思い出したのだった。




彼が電車に乗っている時に遭遇した、ちょっとした「事件」だ。

つり革に掴まって立っていた彼の前には、「社会の窓」を開けたまま

眠り込んでいるおじいさん。

当時は車中にエアコンが完備していない車両もあり、それはエアコン

なしの車両での出来事だった。

誰かが、暑いと感じたのかを開けた。生暖かい風が吹き込んで来た。

と同時に、他の誰かの部分ウィッグ(ヅラのことですね)が風に乗って

ふわっと宙を舞い、なんと眠っているおじいさんの股間に着地。

周りはクスクス……。


眠っていたおじいさんが目覚め、自分の目の前(股間)の状態を見て

慌てふためき、何をしたかと言うと、咄嗟にヅラを「社会の窓」の中

に押し込みチャックを閉めてしまったのだ。その後は寝たふりを続ける

おじいさんでした。




目覚めたおじいさんの頭の中はおそらく、

「しまった!」→「仕舞った(汗)」→「閉まったー」

という思いが去来しただろうと私は思った。



教訓

・「窓」の開け閉めには注意しよう。(社会の窓、電車の窓)



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