パーンッ! カランコロン、カランコロン。 

突然の甲高い乾いた破裂音とともに、硬い複数の何かが床に転がる音。 

 

(はっ! 誰かに狙われている!?)

それは、日が暮れる前の夕方の初めごろ、リビングルームで前日の録画番組を倍速で観ている最中の出来事だった。 


あまりに突然の大きな音に驚いた私は、観ているブルーレイレコーダーのリモコンの電源を何故だか分からないがオフにした。 その時には既にリビングには沈黙が覆っていた。


(落ち着け、落ち着くんだ。)

自分に言い聞かせながらも、過去の記憶がわずかに蘇る。



   :

かつて陽性症状が激しかった頃、家に居ても何者かに命を狙われていると信じていた私は、ヘリコプターが飛んでいれば窓から身を隠し、夜になれば遥か遠くの建物から狙撃されるのではと怯えていた。

家族が観ているTVのバラエティ番組から聞こえる笑い声や話題が、自分に向けられたものと信じていたので、常に監視されていると思っていた。何故か自分の動作に合わせて、笑い声がドッと大きくなったりした。

   :



(落ち着くんだ。)

我に返り考えてみる。どこからか物が落ちたにしては、音が大きすぎる。落ちるとしても壁掛けの時計くらいだが、ちゃんと掛かった状態であることを確認する。

次に、何かが転がった音がした方向をざっと見渡してみる。


あった! 何かの小片が2つ転がっていた。

ーー薬莢?  いや違う。寸足らずだ。それには見覚えがあった。そう、それは、ボタン電池を+極とー極に割った小片2つだったのだ。中にはバッテリー用の溶剤が露出していた。見事に真っ二つに破裂していた。



そう言えば、今朝キッチンカウンターの上にボタン電池が5~6個おいてあったな。家族の誰かが、分別廃棄するのを面倒臭がり、仮に置いて行ってしまったのだ。よく見ると、破裂していない他の電池も膨らんでいて、今にも破裂しそうな状態だった。

ボタン電池

これですべて判明した。

リビングルームは南側に面しており、冬でも暖房なしで日中の室温は25℃を超えることもある。この日もやはり25℃に達していたから、電池は膨張に耐えられず破裂して飛び散ったという訳だ。


カウンターに乗っていたボタン電池をそのままゴミ箱に捨てるのは危険なので、上に布を被せ温度上昇が収まるのを待つことにした。


百円ライターなどによく書かれた注意書きはやはり本当だったのだ。

これから陽気が夏に向けて暖かくなっていくので、「火気厳禁」のモノは注意しないといけない。


それにしても、何もなくてよかった。 狙撃された訳ではなかったのだ。




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