妄想って苦しいですよね。(もちろん幻覚もそれはそれで苦しいですが)
こればかりは経験した人にしかわかりません。
健常者がよく口にする「妄想『癖』」はまったく別物です。
それは生活をむしろ豊かに(精神的に)できる才能かもしれません。
統失者が経験する妄想は生活や生命を危うくするほどの危機でしかありません。
私はいま妄想からは遠ざかっており、幸いなことに安定してリアルの生活を送れています。
妄想に苦しんでいる最中の人には早く良くなってほしいと願うばかりです。
さて、妄想の世界からリアルの生活に凱旋できた私自身の何が変わったのでしょうか。
たしかに気持ちや行動が楽になったのは間違いありません。
でも冷静に見回してみると、(コロナの流行に目をつむれば)家族や世間や日本さらには世界は変わりなく時を刻んでいます。
(コロナ禍であっても)朝起きれば1日が始まり、陽が沈んで活動を終えると1日は終わります。
何を言おうとしているかというと、変わったのはちょっとした考え方だけではないのかということです。
マザーテレサのことばで
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから……
というのがありますね。
統失者のひとりとして経験したことは、発症のきっかけがささいなことでも、それまでに築きあげた(頭の中にある)社会や現実という 城 を土台から崩れさせるには十分だということでした。
いったん崩れ去ると、今度はあたらしい考え方(まちがった考え方)でふたたび城を築こうとします。
あたらしい(まちがった)城ができあがっていくさまが統合失調症の悪化です。
立て直された城が堅牢であればあるほど、病気から回復するのがやっかいになります。
私自身は、その建造物の崩壊と再建築のサイクルを2~3回くりかえしました。
城 = 建造物 = 頭の中の現実 は言ってみれば「妄想」です。
健常者と統失患者の違いは、妄想が健全か狂っているかという違いです。
妄想(=考え方)が健全かどうかという判断は、これまた難しい問題なのでここでは深掘りしません。
言えることは、(健常者か統失者かにかかわらず)誰もがそれぞれの妄想の中で生活しているということです。
おしまいにマザーテレサのことばをふたたび。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
にはつづきがあります。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
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