なにもマウンティングしているわけではありません。

デジタルネイティブの人たちがむしろ羨ましく思っているくらいです。


今回のコロナがもしも私の若いころに襲ってきていたら……と考えると、家にこもってなにをしていたか想像もできません。

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じゃあ、タイトルがあべこべじゃん? 

そうですね、でも言いたいことはそうじゃないんです。

まあ、お付き合いください。



むか~しむかし、あるところに、サトシというのちに統合失調症になる少年がおりましたーー


中学生になり読書が楽しく感じるようになりました。

近所の商店街にある小さな本屋さんによく立ち寄り、気になる本があると買うこともありました。

でもあまりお小遣いを持っていないので、買う本は文庫本ばかりでした。

読み終わるとまた小さな本屋さんを覗きますが、いつ行っても並ぶ本はほとんど代わり映えしないものばかりでした。


当時、ブックオフなんてものは存在していません。


しだいに電車に乗って、大きな書店のビルが並ぶ神保町の本屋街に行くようになりました。

電車代がかかるので、行った時はここぞとばかりに何冊も買うようになります。

そのために前から気になるタイトルは、記憶やメモに留めていたのです。


それと並行して図書館にも通うようになりました。

興味ある本や雑誌、新聞などを広いイスやソファで読みました。

気づくと大学生になっており、レポートでは図書館にお世話になりました。

でも、つまらないレポートのために図書館まで歩いて行って、何冊もの本を参照しながらそれをレポートにまとめあげるのはけっこうな労力でした。


「コピペ」や「ハイパーリンク」ができればさぞかし楽になったでしょう。

でもそういうことば自体がありませんでした。

コピーといえば、ゼロックスのことを指しました。


さらに時は過ぎ、就職して入社後コンピュータに出会います。

ブラインドタッチをマスターし、今から見れば巨大なコンピュータから始まりしだいにダウンサイジングして、さいごは個人のデスクに乗るようになります。

数年してからパソコンを操るようになりました。


自分で買えるくらいの値段に下がると、VAIOノートを購入し家でもいじるようになりました。

Googleがまだ誕生しておらず、当時の貧弱な検索エンジンで目当てのコンテンツを探すのに苦労したことも、電話回線の「ピ~ヒャラ~ピ~」という音とともに記事がなかなか表示されなかったことも、今となっては懐かしい思い出です。


いま思えば、なんと不便な時代だったんだろうという感じですが、それでも当時は家にいながら世界の情報とつながっているという驚異に想像が追いついていませんでしたーー(つづく)




いまや、本は買いたいと思ったその場でスマホから買って(著作権が切れた文学などは無料で)すぐ読み始めることもできますし、調べたいことは図書館まで出向かなくてもたいていのことならネットで調べるのが普通です。

学校へ行けないと嘆かなくてもやる気さえあれば、国内外問わず有名大学の講義まで視聴できますし、iTunes U や TED からでも学ぶこともできます。

あげればキリがないほど情報は溢れています。


少年のサトシには想像がつかないくらい恵まれた環境です。

スマホ1台パソコン1台あれば、図書館や神保町の本屋街に行かなくても事足りそうです。



ならば、なぜ「若者はかわいそう」なのか? 


それは、恵まれていることに無自覚だからです。


昔は、自分に足りないものを努力して埋めていました。

常にハングリーだったのです。


今は、自分に足りないものがないように思えるのであえて苦労はしません。

だからハングリーでなく満たされています。


実は、足りないものがないわけではなく、一見そう思えるということです。

最初から満たされた環境にいる(なにが足りないかわからない)からこそ、なにを埋めれば良いかがわからないという意味で「かわいそう」だと思うのです。


例えば、調べたいイメージはあるけどキーワードを知らないから調べようがないというのはマシなほうで、Twitterでは熟考もなく空気を読んで弱者を非難するとか、暇すぎてなにしていいかわからない、というのは かわいそう というほかありません。


情報技術が泣きますよ。


そういう意味では、若者に限ってかわいそうなわけでなく、かわいそう(=残念)な中高年も当然いるわけです。

さすがにご高齢の方にスマホ・パソコンが駆使できなくてかわいそうだというつもりはありません、それこそかわいそうです。


じゃあ、かわいそう(=残念)なのはどういう人かといえば、それはハングリーでない(足りないものがわからない)人のことを指しています。


これだけ(ってどれだけかわからん!)豊潤な先人たちの知識が溢れているのに味わえない人と、それらを堪能できる人に二極化していくんだと思います。


だから実は、若者にだって自分がマネできないくらい有望な人たちはたくさんいます。



私は人生を折り返しましたので、残された時間を情報の波に流されること(受動的)なく流れに乗ること(能動的)で泳ぎ切れればと思っています。



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